BLOG

草花や野生の馬など自然と触れ合う、ネイチャートリップがテーマ 2024-25年秋冬コレクションの招待状【4】

2024年5月9日

コレクション取材中に、各メゾンから藤岡篤子の元へ届くショーへの招待状（インビテーション）。
2024-25秋冬コレクション取材中に、藤岡の手元へ届いた招待状のなかから、
4つのテーマに分けてご紹介してきました。

最終回は、
草花や動物、空、大地など自然環境をモチーフに、
自然と触れ合う旅、ネイチャートリップをテーマにした招待状をご紹介。

Sergio Rossi(セルジオロッシ）は躍動感ある馬をモチーフに。
WEEKEND Max Mara(ウィークエンドマックスマーラ）は、Joy Roadと題し、
ロードトリップの旅路を思わせます。
他にもブルーやグリーン、ブラウン等アースカラーを使用するなど、自然環境を意識した招待状が増加。

また、花一つをとっても、
その表現方法は、油彩画風などドローイングタッチの物から、
立体的な手法まで、デザイナーによって個性豊か。

JULIE KEGELS (ジュリケーゲル)は
淡いアイスピンクに、立体的なレース刺繍の花模様と、
エンボス加工の文字で、ショーの場所や日時を知らせてくれました。
アントワープ王立芸術学院を卒業後、アライア等ベルギー出身デザイナーの下で経験を積み、
今季ついにパリコレデビューした期待の新星です。
デザイナーは学生時代から、熱でプラスチックを溶かして成形する、熱成形という技術を採用。
今季は「50/50」と題し、洋服の前と後ろが全く異なっている、遊び心に富んだ
コレクションを披露してくれましたが、
この熱成形によるレトロなレース柄が、バッグカバー等にも登場していました。
ノスタルジックな中に革新的なアイデアを織り交ぜていく、若きデザイナーの感性が招待状からも窺えます。

LORO PIANA(ロロ・ピアーナ)は、
テラコッタブラウンに、アザミの花が浮き彫りで描かれた招待状を送ってくれました。
創立100周年というアニバーサリーイヤーを迎えた今季。
「1951 年以来ロロ・ピアーナの伝統的な紋章のモチーフで、メゾンがカシミヤを起毛させ
ブラッシングするために用いてきたアザミの花 “フィオーリ・ディ・カルド”」をシンボルに選んだと言います。
招待状に描かれたアザミの花は、まるで歴史ある建造物に刻まれたレリーフ彫刻のようで、
メゾンの歴史と伝統を象徴的に表していました。

ETRO (エトロ)は、
デザイナー Marco De Vincenzo（マルコ・デ・ヴィンチェンツォ)からのメッセージとともに、
48×66 cmほどの刺繍の設計図が届きました。
「私が乗り出した旅には地図はない。しかしもしあるのだとすれば、私がいるここエトロでは、
このような記録文書のことでしょう・・・」

方眼紙の上に刺繍の図案が描かれたそれは、ちょうど見知らぬ土地で
行先を見つけるために手に入れた、折り畳まれた地図のよう。
ホメロスの叙事詩『オデュッセイア』の冒険の旅をテーマとした今期、
先立って正解を示してくれる地図のない、クリエイティブな道のりを、
デザイナーは冒険の旅に重ねたのでしょう。
メゾンの培ってきたアーカイブのスケッチや記録文書を紐解いて見つめる作業こそが、
旅の手掛かりであり、地図なき旅を発見に導いてくれるもの。
今季はメゾンのアーカイブの刺繍の設計図がメタファーとして届けられたのでした。

全4回に渡りコレクション招待状の世界をお届けしてまいりましたが、いかがでしたでしょうか。
また来季も、藤岡の元へどんな招待状が届くのか、紐解くのを楽しみにしたいと思います。
・
・
・
藤岡篤子ファッショントレンド速報セミナー 2024-25秋冬4都市コレクション
トレンドブックのお求めはこちらから
トレンドブックのお求めはこちら

ファッションジャーナリスト藤岡篤子がモードの現場でキャッチした「美の多様性」を示す新潮流とは？　Precious.jp掲載

2024年5月8日

【掲載のお知らせ】
ラグジュアリーメディアサイト Precious.jp(プレシャス)にて
藤岡篤子が記事を執筆しています。

ファッションジャーナリスト藤岡篤子がモードの現場でキャッチした「美の多様性」を示す新潮流とは？

2024年秋冬コレクションの現地取材に赴いた藤岡篤子が感じ取ったのは、
「エイジズム（年齢差別）」へのメッセージ。

マチュアな女性たちがモデルとして多くランウェイに登場した、
「ドルチェ＆ガッバーナ」「ミュウミュウ」「ヘルムート　ラング」を中心に、
藤岡篤子がその動向を考察し、解説しています。
ぜひチェックしてください！

掲載記事はこちらから
https://precious.jp/articles/-/47456

ノスタルジックなセピア色が多数登場、象徴的に髪が貼られた招待状も。2024-25年秋冬コレクションの招待状【3】

2024年4月30日

コレクション取材中に、各メゾンから藤岡篤子の元へ届くショーへの招待状（インビテーション）。
時代の様相を象徴的に伝えてくれる招待状ですが、2024-25秋冬コレクション取材中に、藤岡の手元へ届いた招待状のなかから、4つのテーマに分けてご紹介しています。

第3回目は、
セピア色やダークカラーを用いたもの、歴史ある建物や古代芸術をモチーフにしたものなど、
どこかノスタルジックな招待状に注目！

TOD’S(トッズ)は、
新クリエイティブ・ディレクターに就任したマッテオ・タンブリーニが、ミラノを象徴する歴史ある路面電車の車庫で、デビューショーを開催。
招待状へも、歴史ある車庫の内装がセピア色で写し出されていました。
ACT N1(アクト・ヌメロウーノ)はネガフィルムの上に直接白い文字を載せたデザイン。
今季は多くのメゾンで、ダークカラーやセピア色の招待状が目立ちます。

DRIES VAN NOTEN (ドリスヴァンノッテン)は
今季のショーの直後、ドリス・ヴァン・ノッテンが自身のブランドから去ることをアナウンスしました。
惜しまれつつも、ウィメンズでは最後のショーとなった今季。
プレスリリースが「彼女は、思い切って前髪を切った ─」という一文から始まる通り、
今季のインビテーションにはカットされたブロンドの髪が貼られていました。
アトリエのスタッフが皆で少しずつ髪を切ったのかしら、などと想像します。
例えば別れがあった時に女性が髪を短く切ってふたたび前を向くような、
象徴的なメッセージが込められていました。

FENDI(フェンディ)は、
幅32cm×長さ 154cmほどの、プリーツに折られた細長いポスターが。
まるで日本の和室の掛け軸のような大きさですが、
ダークカラーに、コレクションにも登場した、古代ローマ彫刻のモチーフがプリントされています。

今季、アーティスティックディテクターキム・ジョーンズはコレクション制作にあたって、
メゾンの1984年のアーカイブのスケッチを紐解いていました。
そこに描かれていたのは、ブリッツ・キッズ(Blitz Kids)やニュー・ロマンティックス(New Romantics)等当時のユースカルチャーや、ワークウェア、
そして1980年代といえば、川久保玲さんや山本耀司さんら日本人デザイナーがパリへ進出し活躍していた時期。

コレクションには「チュッパチャプス」ホルダーも登場しましたが、
80年代のポップカルチャーと、ローマの古代芸術、そして和服風合わせのテーラード等、
いくつもの要素を掛け合わせた今季。
キム・ジョーンズの世界観が、招待状へさりげなく写し出されていました。

・
・
・
藤岡篤子ファッショントレンド速報セミナー 2024-25秋冬4都市コレクション
トレンドブックのお求めはこちらから
トレンドブックのお求めはこちら

ゴールデンウィーク営業のご案内

2024年4月25日

平素は格別のお引き立てをいただき厚くお礼申し上げます。

弊社では、誠に勝手ながらゴールデンウィーク期間中下記日程を休業とさせていただきます。

2024年4月27日(土)-5月6日(月・祝)

上記期間中にいただいたお問合せにつきましては、
5月7日（火）10時より順次対応させていただきます。

ご不便をおかけいたしますが、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。

株式会社fプロジェクト

ボイスメッセージや映画のようなティーザー動画も。2024-25年秋冬コレクションの招待状【2】

コレクション取材中に、各メゾンから藤岡篤子の元へ届くショーへの招待状（インビテーション）。
時代の変化とともに招待状の姿形も変化し、時代の様相を象徴的に伝えてくれるもの。
2024-25秋冬コレクション取材中に、藤岡の手元へ届いた招待状のなかから
4つのテーマに分けてご紹介しています。

第2回目は、ボイスメッセージやショーの世界観を表現したティーザー動画などデジタルなアプローチに注目！

STELLA McCARTNEY (ステラマッカートニー)からは
デザイナーのステラとSNSで会話をしているような、ユニークな招待状が届きました。
“Hey,It’s me It’s Stella”と、ボイスメッセージで
ショーの場所や時間を伝えてくれているのですが
音声に合わせて唇のイラストが動き、まるでLINEでやり取りをしているよう。
まさに「今」ならではの招待状ですね。

CHANEL(シャネル)は、
今季、デザイナーヴィルジニーヴィアールが
シャネル誕生の地ドーヴィルに思いを馳せてコレクションを制作。
ショーに先駆け、イネス＆ヴィノード監督によるティーザー動画を公開しました。
ティーザーの中にはクロードルルーシュ監督の映画「男と女」（1966）で有名な遊歩道「ドーヴィルプランシュ」も登場。
シャネルが活躍した1920年代と、映画「男と女」の1960-70年代、そして「今」とが掛け合わされ、
見事に世界観を表現していました。

今日はショーの世界へいざなう「招待状」の中でも、
ボイスメッセージやティーザー動画など、
新しいアプローチをご紹介しました。
・
・
・

藤岡篤子ファッショントレンド速報セミナー 2024-25秋冬4都市コレクション
トレンドブックのお求めはこちらから
トレンドブックのお求めはこちらから

【トレンドブック販売開始】藤岡篤子ファッション・トレンド速報セミナー 2024-25秋冬コレクション

2024年4月24日

藤岡篤子ファッション・トレンド速報セミナー 2024-25秋冬コレクションは
お陰様で盛況のうちに、会場、ウェビナー(動画)配信ともに
開催を終了いたしました。

たくさんの方にご来場いただき、
またウェビナーにてご受講くださった皆様もまことにありがとうございました。

ご要望をいただいておりました、
藤岡篤子　監修 2024-25秋冬「コレクショントレンドブック」を
公式ウェブサイトにて販売開始しております。

ニュートレンド、ジャスト・スタイリング、シルエット、カラー、キーアイテム、ディテール、ファブリック、パターン、ファッショングッズなど
豊富なビジュアルと的確なキーワードで、コレクション・トレンドを詳細に解説し
時代を読む「バイブル」として絶大な支持を集めています。

トレンド分析、商品開発に、ぜひお役立てくださいますと幸いです。
・
・
・
藤岡篤子ファッション・トレンド速報セミナー 2024-25秋冬コレクション
トレンドブックのお求めはこちら
トレンドブックのお求めはこちら

現代画家の絵画の複製からオリンピックカラーの陶器まで。2024-25秋冬コレクションの招待状をご紹介

2024年4月22日

コレクション取材中に、各メゾンから藤岡篤子の元へ届くショーへの招待状（インビテーション）。
時代の変化とともに招待状の姿形も変化し、時代の様相を象徴的に伝えてくれます。

今回は2024-25秋冬コレクション取材中に、藤岡の手元へ届いた招待状のなかから
4つのテーマに分けて順次ご紹介いたします。

今日は、ルネッサンス時代の絵画を思わせるものから、グラフィカルでポップなアート感覚のものに至るまで、
アートを題材にした招待状に注目！

LOEWE(ロエベ)は今季 “由緒”の研究をテーマに掲げ、
イギリスの上流階級の家の壁紙の花柄や陶器の柄、名門校の制服等がモチーフに。
また今季重要なモチーフとして起用され、ショー会場にも18点が展示された、アメリカの画家ALBERT YORK(アルバート・ヨーク)の絵画の中から
「Landscape With Three Trees and Pond」の複製が招待状に。

今年生誕75周年を迎えたONITSUKA TIGER(オニツカタイガー)からは、
アイコニックカラーのイエロー×黒のロゴがグラフィカルに映える、大きなペンキ缶が！
中には黒地に黄色のロゴのポーチが入っていました。
今季はイタリアの老舗百貨店リナシェンテとコラボレーション。
正面のショーウィンドーをすべてブランドカラーのイエローで覆った様子は圧巻でした。

CASABLANCA(カサブランカ)は、
古代ギリシャの芸術や建築、哲学に目を向けたという今季のコレクション。
古代ギリシャの建築の柱を描いたような招待状と、オリンピックカラーの陶器の小鉢が届き、
今年7月に開催されるパリ五輪を連想させます。

「季節」のエッセンスを届けてくれるコレクション招待状。
その表現方法はデザイナーによって様々で個性豊か。
今日は趣向を凝らした招待状の世界をご紹介しました。

・
・
・

【トレンドブック販売開始】
藤岡篤子ファッショントレンド速報セミナー 2024-25秋冬4都市コレクション
トレンドブックのお求めはこちら
トレンドブックのご購入はこちらから

プレシャスキャリアが語る「リアル・ラグジュアリー」3つの視点　雑誌Precious （プレシャス）5月号掲載

2024年4月11日

【掲載のお知らせ】
雑誌 Precious(プレシャス) 5月号に
藤岡篤子のインタビューが掲載されています。

気どらず、頑張りすぎない柔らかな気持ちで、モードを楽しむ
そんな「リアル・ラグジュアリー」なおしゃれに惹かれる今。
プレシャスキャリアのおしゃれについて、
藤岡篤子が今季のトレンドも踏まえつつ、新たな視点から提案しています。

ぜひ発売中の本誌をご覧ください。

脱定番！黒～モックブラックを旬に着こなす秘訣とは？ 2024-25秋冬コレクション会場でキャッチ

本日は2024-25秋冬ミラノ、パリコレクション会場を現地取材中に
藤岡篤子がキャッチしたおしゃれ上級者達のスナップをご紹介。

黒に替わる定番色としてブラウンがトレンドカラーに台頭しているものの、
コレクションでもやはり絶対多数を占めたブラックや
限りなく黒に近い「モックブラック」の着こなし。
今季らしさを身に纏う秘訣とは？

写真左:
ミラノ初日のブルネロ・クチネリの展示会場では、
ツインセットに、フェザーフリンジが揺れる華やかなフレアスカートを合わせて、
ネイビーのワントーンコーディネートを新鮮に。
襟元には白のカットソーがのぞき、リラックスした日常着に、
柔らかな透け感や揺れる装飾、素材の光沢感等を組み合わせるのが今季のポイント。

写真中央 : ドルチェ＆ガッバーナのショー会場でキャッチしたマダム。
白衿が可愛らしいノーカラージャケットに、
女らしい黒レースの透けボトムスを合わせることで
ぐっと今季らしく、視線を集めていました。
ドロップパールの大きなイヤリングや、バラのサンダルなど、レディライクな小物使いにも注目。

写真右：ミラノ3日目にキャッチしたこちらのマダムは、黒×白のクリーンなカラーブロッキングが素敵。
チェスターコートをドレス風に、
上から着物の帯のようにワイドベルトでウエストマーク。
足元は白のサイドゴアブーツを合わせて
ワーク感覚やスポーツ感覚を採り入れるのも旬のポイント。
ブロンドのヘアカラーも含め、トータルにコーディネート。

今日は藤岡篤子がキャッチしたミラノ、パリコレクション会場の現地スナップをご紹介しました。
オフィススタイルや日常着に欠かせない
黒×白やモックブラックの着こなしに、ぜひ旬の要素を採り入れて見てくださいね

・
・
・
藤岡篤子ファッション・トレンド速報セミナー 2024-25年秋冬4都市コレクション
セミナー詳細はこちらから