自身のルーツ アフリカの職人と協働。ドルチェ&ガッバーナの支援に選ばれたFEBEN 2024-25秋冬コレクション 若手デザイナー【1】
2024年5月20日
FEBEN supported by Dolce&Gabbana 2024-25FW ランウェイショー
ここ数シーズンは、パンデミックを経て試行錯誤の中から、老舗メゾンでも若手デザイナーを積極的に登用し、年齢も国籍も多様なデザイナーの抜擢が続きました。また、LVMHプライズや、ロンドンのNPO法人FASHION EAST、英国ファッション協会が主催するNEWGENなど、若い才能を育てる支援の動きが高まっています。
今回は、2024-25秋冬コレクションで藤岡篤子が取材した、Z世代など若き才能あふれるデザイナーにフォーカスしてお届けしていきます。
第1回目は、今季 Dolce&Gabbanaによる支援プログラムに選ばれた
FEBEN(フィーベン)に注目!
デザイナーの Feben Vemmenby(フィーベン・ベンメンビー)は
アフリカ エチオピア人の母を持ち、北朝鮮の首都平壌に生まれ、スウェーデンの難民キャンプで育ちました。
18歳のときにロンドンへ留学。2020年にロンドンのセントラル・セント・マーチンズを卒業後、
ビヨンセやエリカ・バドゥらも彼女のドレスを着用しており、ビヨンセのアルバム「Black is King」では衣装を手掛けるなど、早くからその才能を花開かせています。
©DOLCE&GABBANA
以前から自身のルーツであるアフリカの、ガーナの首都アクラの職人たちとの取り組みを続けており
アップサイクルのプラスチック・ビーズによる、マクラメ編みのドレスやバッグがコレクションに登場。
もうひとつ、彼女のシグネチャーの一つと言えるのが、シルクをツイストしたテクスチャーの技法のドレス。
今季はDolce&Gabbanaからテキスタイルや素材の提供、アトリエ・チームの支援を全面的に受けたことで、
ツイスト技法のドレスは重厚に輝くベルベットで表現されました。
ボディフィットのドレス等に用いられたタイガーストライプ(写真左)は、
ドルチェ&ガッバーナの1990年代のアーカイブファブリックのアニマル柄を、デザイナーがダクトテープと色紙のコラージュで再現し、プリントにしたもの。
ボトムスに合わせたカウボーイが着用するようなチャップス(ボトムスの上から足を保護する為に履くもの)は、
今季もアクラの職人との取り組みでアップサイクルのプラスチックビースで精密に制作されていました。
難民キャンプで育った経験を持つ彼女にとって、「コミュニティ」は必要不可欠であり、
自身のルーツであるアフリカの文化など、自分が所属し育むコミュニティと支え合う事、貢献する事が
彼女の作品制作の原動力になっていると言います。
今季老舗メゾンのサポートでさらなる推進力を得た、次世代を担う新しい感性に要注目です!
©DOLCE&GABBANA